氷菓 第05話

babitto2012-05-24

氷菓
物語的に大きな動きがあるわけではないが、司書の糸魚川先生やカンヤ祭や氷菓の意味などピースがはまっていくのはなかなかの心地よさだった。
糸魚川先生の当事者でありながら第三者のような見せ方の心象風景は、えるの叔父が受けた痛みよりも、その当時の時代背景の息苦しさを伝えるようでとても怖かったなぁ。ダジャレの中にしか自分の叫びを込められなかった絶望感。その一方で事件の当事者や傍観者は英雄として祭り上げることで罪悪感をなくし日常を取り戻していく。幼いえるに伝わっていたウサギのイメージもまた鮮烈で。その当時の状況を再現するかのごとく、一貫して叔父の視点や言葉を借りない作りが、何よりも雄弁な言葉となっている。
表向きとは裏腹に、青春期の光と影といったものを色濃く残したお話だった。

氷菓 第04話

氷菓
える家で勉強会ならぬ推理会。
里志や魔耶花を仮説立てとして使う事で、ややこしくなりがちな推理過程をうまく噛み砕いているのは上手い役割と捌き方だ。学生闘争というやや暗い影を感じさせる過去と、歴史を感じさせる旧家のようなえる家の組み合わせも、雰囲気の重さに繋がっていて、それがまた興味や好奇心をくすぐるようでもあった。最期にきっちりとバトンを受け取る幸太郎が格好良いいのが、お話にカタルシスを作るようになっているのも面白かったな。